開化龍頂茶とはー特徴・定義・産地・製法・淹れ方・飲み方

開化龍頂茶(かいかりゅうちょうちゃ)

<開化龍頂茶>
読み : かいかりゅうちょうちゃ
中文 : 开化龙顶茶 kāi huà lóng dǐng chá
茶類 : 緑茶(烘青緑茶)
産地 : 浙江省衢州市開化県 ※地理的表示産品
品種 : 鳩坑種、翠峰、烏牛早など
時期 : 2月下旬~4月中旬
茶器 : グラス、蓋碗などを推奨

 

浙江省でも有力な新興名茶の一つ

浙江省衢州(くしゅうし)市の開化県で生産されている名茶が開化龍頂茶です。
スッキリとしたキレのある飲み口ながら、うまみもたっぷり含まれた春の訪れを感じさせる緑茶です。

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あるきち

比較的よく見かけるのは、芽を中心で作ったタイプだと思います。お湯を含むと、ぷっくりとした可愛らしい芽に戻ります。

芽のみで作ったものは、針形と呼ばれる中国緑茶でもよく見かける形です。
開化龍頂茶、竹葉青などが代表格です。

開化龍頂茶は、乾燥工程で乾燥機などを使用する烘青タイプの緑茶なので、清らかな香りの緑茶です。
人によっては青みを感じる方もいるかもしれませんが、蘭の花のような香りとも喩えられます。

開化県は古くから茶の生産を行っていたようですが、開化龍頂茶の生産の歴史はさほど古くはなく、1950年代です。
開化県にある標高1193mの大龍山の山頂にある湖(龍潭)のほとりに茶園を設け、その茶葉から新しいタイプのお茶を製造しました。
これが開化龍頂茶の名前の由来になったと言われています。

その後、製法は一度失われましたが、1979年に復刻され、国内の数々の名茶コンテストで受賞しており、浙江省の名茶の代表格の1つです。
浙江十大名茶に選ばれたこともあります(浙江十大名茶は固定ではなく、数年ごとに第○回のように何回もやっているもので、都度、顔ぶれが変わります)。

 

開化龍頂茶の定義

開化龍頂茶は、中国の地理的表示(GI)産品として登録されています。
その定義書による、製品の定義は以下の通りです。

開化県の地域内の鳩坑系列、翠峰などの茶樹品種の生葉を原料とし、殺青、初烘、理条、復烘、提香などの製法で加工され、”嫰緑挺秀、香高味醇”の品質特性を有した、芽形と条形の緑茶。

業界標準『開化龍頂茶』 GH/T 1276-2019 より

茶樹品種については、地元の在来種である鳩坑種やそれから分離した品種、翠峰種、それから記載の無いものでも、浙江省で広く栽培されている早生品種である烏牛早(うぎゅうそう)など、さまざまな品種が用いられています。
特色は、”若々しい緑色で真っ直ぐの形をしていて、香りが高くて味わいには厚みがある”というものです。

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あるきち

あと、開化龍頂には芽だけで作る芽形と一芽一~二葉程度の葉っぱも用いる条形の2種類があります。写真で紹介しているのは芽形で、茶摘みのコストが高い分、高級グレードになります。

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わかば

芽がぷっくりと丸くて可愛いですね。この状態のを1つ1つ摘むのは大変そうだなぁ

 

開化龍頂茶の産地

開化龍頂茶は地理的表示産品であり、衢州市の開化県全域が原産地保護範囲として指定されています。

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あるきち

開化県は浙江省と江西省、安徽省の3省の省境付近にあり、浙江省を貫く大河である銭塘江の源流がある地域でもあります。山がちで森林も多いので、環境はかなり良い産地だと思います。

産地としては、斉渓鎮にある大龍山と白雲山、蘇庄鎮の石耳山などが著名です。
なかでも主力産地になっており、品質が高いとされているのが白雲山産のお茶です。

 

開化龍頂茶の製法

開化龍頂茶は、釜炒りで殺青(さっせい)し、焙籠や乾燥機で乾燥させる、烘青(こうせい)緑茶と呼ばれるタイプの緑茶です。
清らかな香りが持ち味のタイプの緑茶です。

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あるきち

最初に攤放(たんほう)といって、冷暗所で茶葉を数時間置いて水分を少し飛ばしてから、殺青工程に入ります。ここで高温の釜で炒り、酵素を破壊します。そのあとに初烘という乾燥工程があります。開化龍頂茶の場合は、焙籠を使って、輻射熱で水分量をまず30%前後にまで下げます。

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わかば

ふむ、殺青した後で乾燥するんですね。

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あるきち

少し乾燥したら、また釜に入れて形を作っていきます。これが理条で、釜に押しつけるような形で真っ直ぐの形状を作ります。そのあとに、また焙籠で復烘と呼ばれる乾燥工程を経て、荒茶ができます。最後に少し高温で香りを引き出す仕上げ(提香)をして、完成です。

乾燥工程を焙籠や乾燥機などを用いて行うので、香りは清らか系になります。

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かおり

透明感のある緑茶が好きな人は、気に入ると思うわ。

 

開化龍頂茶の特徴

ここまで書いてきた開化龍頂茶の特徴をまとめると、

・烘青緑茶であり、すっきりとした清らかな香りが特徴。
・芽だけを使った芽形と葉っぱも使った条形の2種類がある。
・品種はさまざまで早生品種の烏牛早などを使うものは2月下旬ぐらいから茶摘みが始まる。

ということになります。

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あるきち

特に春の一番茶は芽が太く、うまみが詰まっていて、評価が高いです。烏牛早はやや味が軽いので、本当に美味しいものは3月半ばぐらいからの在来種などを待った方が良いと思います。

 

開化龍頂茶の淹れ方・飲み方

開化龍頂茶は、ぷっくりとした新芽が特徴で、それが浮き沈みを繰り返し、目でも楽しめるお茶です。
そうした姿を愛でられるよう、

・ガラスの器(グラス、ピッチャー)
・白磁の蓋碗やマグカップ

などを使うと、より映えるのではないかと思います。

今回はガラスのマグカップを用いた入れ方をご紹介します。

茶葉を器の底を半分ほど隠すぐらい(カップの大きさにもよりますが1~2g程度)に入れ、お湯(80~90℃)を茶葉がひたひたになる程度にほんの少し注ぎます。
お湯を吸った茶葉から、お茶の香りがふわっと立ちのぼりますので、その香りを少し楽しみながら、カップを少し傾けたり回したりしながら、茶葉とお湯を馴染ませます。

馴染ませたらお湯を注ぎます。
最初のうちは、茶葉が浮いた状態になりますが、徐々に水分が浸透してくると茶柱のように立ち上がります。

しばらく待つと、お茶がだいぶ下に沈みますので、少し息をフーフー吹きかけながら、茶葉を除け、少しずつ飲んでいきます。

お湯が半分ぐらいまで減ってきたら、差し湯をします。
以後、だいたい、カップの3分の1ぐらいまで飲んだら差し湯をしていくようにすれば、味がなくなるまで飲むことができます。

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わかば

うーん、芽が太くて踊るようですね。これは面白い。

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あるきち

茶葉の浮き沈みをもっと見たい場合は、背の高いトールグラスの方が分かりやすいかもね。

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フーマオ

お湯を注ぐときに一点に集中してお湯を当て、対流を起こしてあげると、もっと踊るようになるよ!

 

開化龍頂茶の保存

開化龍頂茶は緑茶なので、フレッシュなうちに飲み切りたいお茶です。
開封したら、できるだけ早く飲み切るのが、緑茶を美味しく飲むコツです。
一度開封した袋は、できるだけ中の空気を抜いた上で、きちんと密閉し、直射日光の当たらない冷暗所に保存しましょう。

長期保存したい場合は、封を切らない状態にして冷蔵庫や冷凍庫に入れておくと、色や味を比較的長く保つことが出来ます。
ただし、冷蔵庫や冷凍庫に入れたお茶は一度出したら、冷蔵庫・冷凍庫には戻さない方が良いです。
結露が起こって、お茶が台無しになることも多いからです。また、においの強いもののそばには置かないようにしましょう。

 

開化龍頂茶は、あまり日本には入ってきませんが、浙江省の緑茶の中では比較的メジャーな存在です。
数ある浙江省の緑茶の中でも個性派のお茶ですので、ぜひお試しください!

 

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