縉雲黄茶とはー特徴・定義・産地・製法・淹れ方・飲み方
縉雲黄茶(しんうんきちゃ)
<縉雲黄茶>
読み : しんうんきちゃ
中文 : 缙云黄茶 Jìn yún huáng chá
茶類 : 緑茶(炒青緑茶)
産地 : 浙江省麗水市縉雲県 ※地理的表示産品
品種 : 中黄2号
時期 : 3月中旬~4月下旬
茶器 : グラス、蓋碗などを推奨
市場を席巻する”黄茶”の1つ
縉雲黄茶は、浙江省南部の麗水市(れいすいし)縉雲県(しんうんけん)原産のお茶です。
最近、中国の市場を騒がせている”黄色い品種(黄化品種)”を用いた緑茶です。
え?霍山黄芽とか蒙頂黄芽とかと同じ黄茶じゃないんですか?
紛らわしいんだけど、製法的には緑茶です。品種が黄色いので”黄茶”と呼ばれているだけで。安吉白茶と同じパターンですね。
(・・・引っかけ問題だ)
縉雲黄茶は、2011年に発売され、その後、国内の名茶コンテストで続々と賞を獲得。
2016年に浙江省杭州市で開かれたG20サミットのオフィシャルティーに指定されるなど、一気に表舞台に出てきたお茶です。
縉雲黄茶の魅力は、黄化品種ならではのうまみの強さ(アミノ酸の含有率が約8%。通常の緑茶の4倍)と、美しいお茶の姿です。
縉雲黄茶の定義
縉雲黄茶は、地元で発見された「中黄2号」という品種を用いることになっています。
この品種はいわゆる黄化品種であり、アミノ酸の含有量は8%前後、ポリフェノール含有量が12~15%程度と特徴的な数字であり、これによって”三黄透三緑”という品質が形成されています。
うまみが強くて、渋みが少ない。味わいはそんなに強いお茶ではないんだけれど、飲んだ後の余韻も続く不思議なお茶です。
縉雲黄茶の産地
縉雲黄茶は浙江省麗水市の縉雲県で生産されています。
麗水市では、傘下の市や県で名茶を1つずつプロモーションする活動をしています。
縉雲県は縉雲黄茶が出てくるまでは、仙都笋峰茶という緑茶を推していました。
しかし、21世紀に入ってから、突然変異の黄化品種を発見。
これを数年がかりで育成し、2011年に商品化したものが縉雲黄茶です。
この品種は2016年に浙江省の省級品種・中黄2号に認定されています。
2015年時点では、縉雲黄茶の茶園面積は2千畝あまり(約134ha)でした。
が、2019年には1.2万畝(約804ha)まで急速に拡大しています。
4年で6倍に拡大するって、かなりブレイクしているみたいですね。
値段も高く売れるので、これはイケると思うと中国はスピードが速いからね。地元の政府も一気に投資するし。
縉雲黄茶の製法
縉雲黄茶は、釜炒りで殺青(さっせい)し、釜で乾燥させる、炒青(しょうせい)緑茶と呼ばれるタイプの緑茶です。
茶葉の形で分かるかもしれませんが、製法としては龍井茶とほぼ同じです。製茶機械なども応用できるので。龍井茶との違いは、基本的には品種と産地の違いだけですね。なかでも品種の違いが非常に大きいです。
縉雲黄茶の茶摘みは、高級品は一芽一葉。普及品でも一芽二葉程度で行われます。
茶摘みをした後、冷暗所で茶葉を6~15時間程度置いて、水分を調整します(攤放)。
含水率が70%程度、重さが17%前後減ったら攤放を終了し、青鍋(殺青)工程に移ります。
青鍋は、いわゆる殺青工程です。
釜に茶葉を20~50g程度入れ、最初は圧力をかけずに2~3分高温で炒め、その後少し温度を落として2~5分、徐々に力を入れて平べったい形にして行きます。
青鍋を終了したお茶は、ざるに入れ、1~2時間ほど冷まします。
これにより、茶葉の内部に逃げていた水分が表面近くに戻ってくる(回潮)ので、次の釜炒り工程で茶葉が焦げなくなります。
続いて形を作っていく釜炒り工程(輝鍋)を行います。
釜に茶葉を20~50g程度入れ、最初は温度を80~90℃程度に設定し、あまり力を入れないようにして1~2分乾燥させます。
続いて温度を10℃程度上げ、徐々に押しつけるようにして平べったい形を作っていきます。
水分を10%程度まで減らしたら、釜から上げ、茶葉を篩にかけます。
最後に乾燥機で水分量を6%まで減らしたら、製品となります。
黄化品種の特徴として温度が高すぎると独特の風合いが失われるそうなので、温度管理が重要になるそうです。
縉雲黄茶の特徴
ここまで書いてきた縉雲黄茶の特徴をまとめると、
・黄茶という名前だが、製法は緑茶。品種の色合いが黄色いので、黄茶と呼んでいる。
・アミノ酸の豊富な中黄2号という品種を使っており、うまみと茶葉の美しさが魅力のお茶。
・製法としては龍井茶とほぼ同じだが、品種差による味わいの違いが大きい。
ということになります。
量が少ないこともあって、かなり強気なお値段をつけてくるのですが、話題性のあるお茶でもあるので、見つけたら飲んでみてください。
縉雲黄茶の淹れ方・飲み方
縉雲黄茶は、黄金色の茶葉の姿も美しく、目でも楽しめるお茶です。
そうした姿を愛でられるよう、
・ガラスの器(グラス、ピッチャー)
・白磁の蓋碗やマグカップ
などを使うと、より映えるのではないかと思います。
今回はグラスを用いた淹れ方をご紹介します。
茶葉をグラスの底を隠すぐらい(グラスの大きさにもよりますが2~3g程度)に入れ、お湯(80~90℃)を茶葉がひたひたになる程度にほんの少し注ぎます。
お湯を吸った茶葉から、お茶の香りがふわっと立ちのぼりますので、その香りを少し楽しみながら、グラスを少し傾けたり回したりしながら、茶葉とお湯を馴染ませます。
その後で、お湯をグラスに7分目ぐらいまで注ぎます。
お湯を注ぐと、茶葉が浮いた状態になっていると思います。
最初は少し息をフーフー吹きかけながら、茶葉を除け、少しずつ飲んでいきます。
お湯が半分ぐらいまで減ってきたら、差し湯をします。
以後、だいたい、グラスの3分の1ぐらいまで飲んだら差し湯をしていくようにすれば、味がなくなるまで飲むことができます。
比較的味が淡くなりがちなお茶なので、茶葉の量は一般的な緑茶より少し多めの方が美味しく飲めるよ!
縉雲黄茶の保存
縉雲黄茶は緑茶なので、フレッシュなうちに飲み切りたいお茶です。
開封したら、できるだけ早く飲み切るのが、緑茶を美味しく飲むコツです。
一度開封した袋は、できるだけ中の空気を抜いた上で、きちんと密閉し、直射日光の当たらない冷暗所に保存しましょう。
長期保存したい場合は、封を切らない状態にして冷蔵庫や冷凍庫に入れておくと、色や味を比較的長く保つことが出来ます。
ただし、冷蔵庫や冷凍庫に入れたお茶は一度出したら、冷蔵庫・冷凍庫には戻さない方が良いです。
結露が起こって、お茶が台無しになることも多いからです。また、においの強いもののそばには置かないようにしましょう。
縉雲黄茶は茶葉が崩れやすいので、圧力などが掛からないように丁寧に保存してね。
縉雲黄茶は、グラスなどに入れ、光を当てると茶葉が美しく器の中で踊る姿が見られると思います。
今、中国でも旬なお茶でもあるので、ぜひお試しください!