漳平水仙茶とはー特徴・定義・産地・製法・淹れ方・飲み方

漳平水仙茶(しょうへいすいせんちゃ)

<漳平水仙茶>
読み : しょうへいすいせんちゃ
中文 : 漳平水仙茶 zhāng píng shuǐ xiān chá
茶類 : 烏龍茶(その他の烏龍茶)
産地 : 福建省龍岩市漳平市 ※地理的表示産品
品種 : 福建水仙
時期 : (春)4月上旬~5月上旬
茶器 : 蓋碗、茶壺を推奨

 

四角く固められた珍しい烏龍茶

漳平水仙茶は福建省龍岩市漳平市で生産されている烏龍茶です。
このお茶のユニークなところは、だいたい10gぐらいの茶葉を四方形に固めているところです。

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あるきち

最近は烏龍茶も餅型に固める(緊圧する)ものがでてきていますが、伝統的な烏龍茶で固めるのがスタンダードなのはこのお茶ぐらいですね。

中国国内でも決して有名なお茶ではありませんが、最近は珍しい形状であること、香りと味わいが良いことから、生産量が増えてきています。
もっとも、現地にルートのあるお店か地元のお店などでしか見かけることはまず無い、レアなお茶です。

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わかば

レアと言われると飲んでみたくなるな~

 

漳平水仙茶の定義

漳平水仙茶は、中国の地理的表示(GI)産品として登録されています。
その定義書による、製品の定義は以下の通りです。

龍岩市漳平市の行政区域内の福建水仙品種の生葉を原料とし、適度な萎凋(晒青)、晾青、做青、殺青、揉捻(造型)、乾燥などの独特の工程を経て製造され特定の品質特性を有した烏龍茶製品。

業界標準『漳平水仙茶』 GH/T 1241-2019 より

茶樹品種については、福建水仙種を用いることになっています。
そのお茶を烏龍茶の製法で製造し、緊圧したものが漳平水仙茶となります(厳密には、漳平水仙茶の散茶も認められています)。

漳平水仙茶は、大まかに清香(せいこう)型と濃香(のうこう)型に分かれます。
大きな違いは濃香型が焙煎を施すのに対し、清香型は乾燥だけで終了するものです。

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あるきち

安渓鉄観音の清香型と濃香型の違いと同じだね。実際には発酵の程度も濃香型の方が重めであることが多いです。

さらに清香型でも、香りのタイプによって大きく花香型と桂花香型に分かれます。
花香は蘭の花のように喩えられることが多く、桂花香とはキンモクセイの香りです。

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あるきち

茎などが入っていないグレードの高い花香型と桂花香型のことを、それぞれ水仙公主(花香型。水仙のお姫様)、水仙王子(桂花香型。水仙の王子様)という名前で、売り出そうとしてますね。まあ、イメージは伝わりやすいね。

 

漳平水仙茶の産地

漳平水仙茶は、福建省西部の龍岩市漳平市の広い地域で作られるようになってきています。
その原産地は、漳平市の南洋鎮であり、九鵬渓という地区が中心産地になっています。

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あるきち

これは最近の中国の茶産地あるあるなんですけど、観光地にもなっている九鵬渓と併せて、茶園も訪問してもらおうという村おこしが行われています。と言っても、南洋鎮自体は1万人にも満たない行政地域なので、そこまで盛り上がってはいませんが、毎年茶摘み開始の時期にはイベントを打つなどしています。

 

漳平水仙茶の製法

漳平水仙茶は烏龍茶であり、比較的成熟した葉を茶摘みします。
茶摘みした葉を日光萎凋と室内萎凋を繰り返しながら、徐々に発酵を進めていきます(做青)。
清香型は比較的軽い発酵程度、濃香型はやや重めの発酵程度を狙います。

発酵が十分に進んだタイミングで、高温の釜で炒り、酵素を壊して発酵を止めます。
その後、揉捻をして茶の出を良くしてから、緊圧形の場合は乾燥する前に四角い箱の中に茶を詰め、それを棒で押し込むような形で固めます。
それを乾燥させてから、出荷前に紙で包むと漳平水仙茶の緊圧形のお茶が出来上がります。

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あるきち

福建でも、水仙は比較的焙煎を施したタイプが多いのですが、漳平水仙茶は軽い発酵のものも多く、水仙という品種の烏龍茶への適性が良く分かるお茶だと思います。

 

漳平水仙茶の特徴

ここまで書いてきた漳平水仙茶の特徴をまとめると、

・水仙種を用いたお茶で、緊圧形の烏龍茶が有名(固めていない散茶もある)
・清らかな香りの清香型と焙煎の効いた濃香型があり、また花香型と桂花香型などのバリエーションもある。
・いずれにしても烏龍茶らしい華やかな香りのお茶だが、まだまだマイナーなお茶である。

ということになります。

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あるきち

日本でもそれほど多くのお店で扱っているわけでは無いのですが、見た目のインパクトもあるので、ぜひ試してみてください。

 

漳平水仙茶の淹れ方・飲み方

漳平水仙茶は、香りが命の烏龍茶です。
その特性を活かせるよう、

・蓋碗
・茶壺

などを使って、高温のお湯で淹れると、その魅力がよく感じられるのではないかと思います。

今回は蓋碗(110cc程度)を用いた淹れ方をご紹介します。
茶葉ですが全量入れても良いのですが、茶葉の量が多すぎるとスピーディーにお湯を抽出しないと味が濃くなりすぎる場合があります。
そこで、2分の1程度に割って入れることをお勧めします。
その割り方ですが、茶葉を真っ二つに破るような割り方をすると、葉っぱがちぎれた部分から雑味が出やすくなります。
これを避けるためには、葉っぱ自体は割らないように剥がしていくイメージで、お茶をとっていくと良いと思います。

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フーマオ

渋みを出したくないときは、茶葉は折らない。これ、大事よ!

最初はサッとお湯を通してすぐに茶海にあけてしまい、湯通しをしておくと失敗の確率は低くなると思います。
1煎目は、沸騰したての熱湯を茶葉ができるだけほぐれるように回して注ぎ、30秒程度で抽出します。

2煎目以降は、茶葉が大分ほぐれてきていると思うので、状態からなので、20秒ぐらいで適正な濃さのお茶になると思います(好みで増減させてください)。

 

漳平水仙茶の保存

漳平水仙茶は烏龍茶ですが、緑色の強い清香型のものは、清らかな香りが飛びやすいので早めに飲んだ方が、美味しさをより味わえます。
開封したら、できるだけ早く飲み切った方が良いですし、特に茶葉を割った場合は、早めに飲み切ってしまいましょう。
真空パックに入っていることが多いので、保存するのであれば、その状態をキープしたまま、直射日光の当たらない冷暗所に保存しましょう。

長期保存したい場合は、封を切らない状態にして冷蔵庫や冷凍庫に入れておくと、色や味を比較的長く保つことが出来ます。
ただし、冷蔵庫や冷凍庫に入れたお茶は一度出したら、冷蔵庫・冷凍庫には戻さない方が良いです。
結露が起こって、お茶が台無しになることも多いからです。また、においの強いもののそばには置かないようにしましょう。

濃香型のものは、焙煎が入っている分、少し長く保存することができます。
焙煎が強すぎると感じる場合は、しばらく放置しておくと、火の香りが消え、より美味しく味わうことができます。

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かおり

買うときにどちらのタイプかちゃんとチェックして、覚えておいてね。

 

見た目のインパクトのあるお茶ですが、香りも烏龍茶らしい華やかで魅力的です。
最近は、急速に産地が拡大しているので、正直、品質にバラツキが出て来ているのですが、厳選したお茶を扱うお店で購入して試してみてください。

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