お茶の作り方は大体6つ-中国茶の六大分類

中国茶は何種類あるのか?

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わかば

そもそもですけど、中国茶って何種類あるんですか?

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あるきち

”種類”というのをどのレベルで考えるかによるけれど、2018年に公式見解として、”名優茶(めいゆうちゃ)”と呼ばれる高級名茶の数だけでも1000種以上ある、ということになっているね。

中国茶業70年の歩みのパネル

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わかば

1000種類以上!それって、飲みきれないぐらいありますよね。これは大変だ・・・

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あるきち

うん、とても沢山あるんだけれども、大まかに特徴を分けることは可能です。それを実現するのが”六大分類(ろくだいぶんるい)”という分類方法だね。

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わかば

出た、六大分類!

上記で挙げた中国茶の種類については、名優茶と呼ばれている、名前の通った有名なお茶(製法に特徴があり、産地がある程度限定されているお茶)の数です。
ただし、同じお茶とされるものの中でも、製法が微妙に違ったり、産地が違うなど、バリエーションがあったりします。
たとえば、同じ鉄観音というお茶でも、青々としたフレッシュなものもあれば、火入れのしっかりした甘い香りのものもあったりします。
これをそれぞれ別の種類と数えるのならば、さらに種類は増えます。
また、中国ではお茶は急成長産業であり、新しい名茶が現在進行形で続々と誕生しています。

そのような状況なので、正直なところ、何種類あるかは誰にも分かりません。
そのため、種類を答えるとしたら1000種類”以上”のような書き方にならざるを得ないわけです。

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フーマオ

話を置き換えて説明するなら、日本酒の「獺祭」を1つの種類と捉えるか「磨き三割九分」「磨き二割三分」「発泡スパークリング」とかのバリエーションも1種類ずつとカウントするかで、数は大分違うよね。

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わかば

(意外とまともなことも言うんだ・・・)

 

六大分類の意義と現在

中国茶の六大分類は、各地域で伝統的に作られてきた中国茶をグルーピング(分類)していったものです。
この六大分類は、安徽農業大学の陳椽(ちん・てん)教授により提唱されたもので、お茶の製法の違いによって、茶を分類したものです。

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かおり

中国で作られていた無数のお茶から法則性を見出して、6つのグループに分けたのね。

現在では、この製法による分類は、中国だけでなく世界のお茶の分類方法になっています。
以前お話しした、ISO(国際標準化機構)が定めている、緑茶と紅茶の国際規格では、それぞれ製造工程が明記され、その製造工程に則ったお茶が、緑茶であり、紅茶であると定義されています。

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あるきち

六大分類は、2014年10月に中国政府が明確に定義を示していて、現在は「緑茶(りょくちゃ)」「紅茶(こうちゃ)」「黄茶(きちゃ)」「白茶(はくちゃ)」「烏龍茶(うーろんちゃ)」「黒茶(くろちゃ)」の6つが、いわゆる六大分類ということになっています。

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わかば

あれ?青茶(あおちゃ)っていうのは無くなったんですか?色が並んで綺麗だったのに・・・

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あるきち

うん。だから最初に「青茶は、もはや死語」って言ったわけ。”烏龍茶は青茶の一種で~”という説明もよく見かけるんだけれど、「一種というのなら、青茶の他の種類も書いてよ」と思うんだけど、大抵書いてないよね。

台湾では、青茶の中には「烏龍茶」と「包種茶」があるというスタンスをとっているので、「青茶」という用語を使い続けています。
が、「烏龍茶」と「包種茶」の違いは製法の中の発酵程度の違いなので、中国では「それなら大体一緒だし、一般に通りの良い”烏龍茶”に統一してしまおう」ということなんだろうと思います。

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わかば

そういえば、ジャスミン茶などの花茶はどうなっているんですか?

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あるきち

六大分類と花茶に分類されます、になっている説明も多いよね。でも、今は「再加工茶(さいかこうちゃ)」という、一度作ったお茶に手を加えたお茶という分類が六大分類とは別に設けられています。その中に花の香りを茶に移した花茶だったり、茶葉を固めた緊圧茶(きんあつちゃ)、ティーバッグなどの袋泡茶(たいほうちゃ)、抹茶などの粉末茶(ふんまつちゃ)という分類が出来ています。

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わかば

うーん、古い本で勉強してちゃダメですね・・・

中国ではお茶は急成長産業で、生産量も急増しています。
2000年の生産量は約68.3万トンでしたが、2019年の生産量は速報数値で約280万トンと20年で約4倍に増えています。
日本のお茶の生産量は、約8万トン程度で横ばいなので、いかに急成長しているかが分かります。

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かおり

中国の茶業は昔とは大きく変わっているのよね。

 

不発酵茶、半発酵茶、全発酵茶、微発酵茶・・・

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わかば

ところで六大分類って、不発酵茶、半発酵茶、全発酵茶、微発酵茶・・・とかいうやつですよね?

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あるきち

あー、それは一旦忘れた方が良いよ

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わかば

えっ!なんでですか?

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あるきち

その言葉で六大分類を理解したつもりになっちゃうと、混乱することが出てくると思う。さっきも言った通り、この六大分類は、あくまで「製法」のことしか触れていないんだ。それぞれの製法で作ると、そういう発酵程度のお茶になりがち、って話だけなんだよね。

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わかば

???

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あるきち

中国茶ではないお茶で説明をした方が分かりやすいかな。インドのダージリンでは春摘みの紅茶をファーストフラッシュと言うんだけど、そのお茶の色を是非見て欲しいんだ。

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わかば

あれ?これ、色が緑っぽくないですか?本当に紅茶なんですか?

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あるきち

このお茶、作り方の流れは、紅茶の作り方で作っているんだよね。でも、発酵程度を軽く仕上げているんだ。だから、色は緑色っぽくて、イメージしている紅茶じゃないみたいでしょ?でもね、世界的にこれは紅茶なの。なぜなら、このお茶の作り方が紅茶の作り方だから。

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わかば

全発酵じゃないから、半発酵。ということは、烏龍茶ってことにはならないんですか?

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あるきち

中国に限らず、世界のお茶の分類は、製法によって分類されているんだ。発酵程度は全く関係無い。あくまで製法が、どの種類の製法に沿っているかが問題なんだよ。

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わかば

じゃあ、全発酵茶とか半発酵茶とかいうのは・・・

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あるきち

それぞれのお茶の作り方で行くと、そうなりやすい、ってだけだよね。多分、理解しやすいように後付けしたものだと思うんだけど、日本ではそちらの後付けの方が一人歩きしている感はあるよね。ただ、それは本末転倒ってやつで。ダージリンファーストフラッシュは発酵が軽いから烏龍茶だ、という説は、六大分類の基本である製法による分類ってのを外しているんだよね。

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フーマオ

あるきち君、今日は辛口だね~

 

それぞれのお茶の製法がどのようなものかは、それぞれのお茶の解説のところで紹介していきます。

<今日のまとめ>
・中国茶の種類は1000種類以上あり、日々新しいお茶が生まれ、増え続けている。
・そのような中国茶も、大きくグループに分けると6つに分けられる。これが六大分類。
・六大分類とは、製法の違いでお茶を分類したものであって、発酵度は関係無い。
・不発酵茶、全発酵茶、微発酵茶などは、製法の結果としてなりがちなものを示しただけで、こちらが主では無い。

 

続く。

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