「チャ(チャノキ)」の特徴
チャノキはツバキの仲間
前回、世界的にも狭義の「茶」は、”チャノキから作られるもの”ということをご紹介しました。
チャノキという植物について、少し詳しく見てみましょう。
植物としてのチャノキを指す場合は、カタカナで「チャ」と表記することもあります。
チャノキのラテン語の学名は、Camellia sinensis (L.) O.Kuntze といいます。
「カメリア・シネンシス」という呼び方をすることが多いかと思います。
”シネンシス”は、「中国の」という意味です。
植物の分類でいうと、カメリア・シネンシスはツバキ科ツバキ属です。
ツバキの仲間なんですね。
そう。サザンカあたりとも近しいけれども、種が違うので、別の特徴もあるんだよね。
チャノキの特徴
チャノキ(カメリア・シネンシス)の特徴としては、以下のような部分が挙げられます。
・葉は長楕円形で、縁には細い鋸歯がある。
・葉脈に沿ってへこんでいて、脈間は突出している。
・側脈は縁まで届かない。
・特徴的な成分(茶ポリフェノール類、カフェイン、テアニン等)を有する。
チャノキのお茶にはカフェインが入っているんですね。
そうだね。チャノキのお茶である限り、葉の部位や製茶の方法によって量の多少はあるけれど、カフェインは含まれる。完全なカフェインフリーを実現しようとするとデカフェ処理をするか、それ以外の植物を使ったお茶(代用茶、茶外茶)になるね。
カフェインって、なんだか最近怖いイメージがあるんですけど・・・
エナジードリンクとかのカフェイン中毒のイメージかな?お茶の良いところは、カフェインと同時にカフェインの効果を和らげる成分も含まれているところだね。
カフェインには、興奮作用や覚醒作用、利尿作用などがあります。
その一方で、お茶に含まれるテアニンという成分は、リラックス効果をもたらすなど、カフェインとは逆の方向の作用もあります。
特定の成分だけを抽出すると副作用の心配があるけれど、お茶として丸ごと採るとリスクが小さくなるんだと思います。もちろん、濃いお茶を大量に飲んだりすると良くないですけどね。
チャノキのお茶が特別扱いなのは、おそらく、チャノキに含まれている特有の成分が、人間が本能的に欲する味わいを持っているのかもしれません。
長い間、嗜好品として用いられてきたのは偶然ではないのでしょう。
大きく分けて2つの変種
カメリア・シネンシスという1つの植物は、大きく分けると2つの変種があります。
それが、中国種(Camellia sinensis var. sinensis)とアッサム種(Camellia sinensis var. assamica)です。
中国種は、基本的には樹高の低い、灌木(かんぼく)型です。
中国種は、渋み成分であるポリフェノール類が少なく、旨み成分であるアミノ酸が相対的に豊富なので、緑茶に適するものが多いとされます。
その中には香りの良いものも有り、これらは烏龍茶に用いられます。
一方、アッサム種は、元々は背の高い、喬木(きょうぼく)になるものが多いです。
10mを超える高さになることも珍しくありませんし、樹齢数百年というような茶樹もあります。
が、現在は生産効率の面から、灌木型に仕立てている茶園がほとんどです。
今でも雲南省などでは、木に登って茶摘みをすることもあるんですよ。
高所恐怖症の私には信じられない・・・
茶摘みも大変だし、産量も少ないから凄い金額になるのも多いねぇ。
アッサム種は、中国種に比べると渋みの成分であるポリフェノール類の含有量が多いので、渋みが勝ちがちです。
しかし、お茶を発酵させると色艶の良い紅茶になるので、紅茶であったり、味わいに厚みのあるプーアル茶などを作るときに用いられます。
中国ではアッサム種は雲南省など南西部に多いわね。インドやスリランカでは、アッサム種が主力よ。
星の数ほどある品種
茶の気は大きく分けて2つの変種があるといいましたが、変種というのは”大まかなグループ”ぐらいの意味合いです。
さらにお茶には、多くの”品種(≒栽培品種)”があります。
お茶は品種によって、葉っぱの大きさや形も違うし、なにより含まれている味わいや香りの成分が違うんだ。品種が違うと同じ作り方をしても全く違う香りや味になるよ。
いちごの品種の違いと同じようなもの?
そうだね。しかも中国はものすごく広いので、気候・環境も違うから、品種の振れ幅も大きい。青々とした葉っぱなのに花の香りや果物の香りがするものもあったりする。品種の多彩さは中国茶の大きな魅力だと思いますよ。
中国茶ハンパないって!
また、それなの・・・
<今日のまとめ>
・チャノキ(カメリア・シネンシス)は、ツバキの仲間。
・チャノキには茶ポリフェノールなどの特有の成分があり、その魅力から昔から嗜好品として楽しまれてきた。
・チャノキには大きく分けて、中国種とアッサム種がある。さらに細かな品種があり、それぞれの香り・味わいがある。
・品種の幅が広いことは、中国茶の多様性をもたらし、魅力の一つである。
続く。