六大分類は、なぜ重要なのか?

六大分類が超大事な理由

中国茶の本を開けば、最初に目にするのが六大分類の話です。
なぜ、多くの本が冒頭に持ってきているのか、について疑問に感じたことはないでしょうか?
その理由をまず紹介してみたいと思います。

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わかば

前から不思議だったんですけど、どうして中国茶の本は、六大分類の話から始まるんですかね?

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あるきち

お茶、とくにさまざまなお茶がある中国茶を理解する上では、超大事だからだね。

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わかば

そんなに大事なものなんですか?なんとなく、どの本でも、サラッと書いてあるイメージなんですけど・・・

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あるきち

お茶の香りと味わいは、お茶の中に入っている成分で決まります。お茶は基本的には自然のままの無添加のものだから、その成分というのは、元々お茶が持っている成分で決まってくるはずだよね?

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わかば

それはそうですね。何も加えないとなれば、お茶が持っているものから出てくるしかないです。

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あるきち

もう一度、チャノキの葉っぱを思い浮かべて欲しいんだけれど、お茶の葉っぱって緑色よね?

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わかば

そうですね。確かに緑色です。そのへんの木と変わらない葉っぱですね。

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あるきち

そんな緑色の葉っぱから、紅茶のような紅い色や甘い香りが出て来たり、烏龍茶の花のような香りが出て来たり、プーアル茶のような濃い褐色のお茶になるのって、なんだか不思議だと思わない?

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わかば

そう言われてみると不思議ですね。青っぽい香りしかしなさそうなのに、何であんな色や香りが出てくるんだろう?

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あるきち

その鍵を握っているのがお茶の製造、いわゆる製茶の工程なんだよね。そこでは化学的な変化など、さまざまな作用が働いて、お茶の成分が変化するんだ。だから、どんな工程でお茶を作ったかを捕まえておけば、ある程度、どんなお茶になるのかが見通せるわけ。

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わかば

それが6つのパターンに分けられるから、六大分類なんですね。

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あるきち

お茶の成分を左右する要因は、前にも話した品種の違いってのもあるし、製茶のほかにも、天候や育った土壌など本当に沢山の要素がある。でも、大きく違いが生じるのは、なんと言っても製法と品種。で、どちらがパターン化しやすいかというと・・・

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かおり

無数にある品種を追いかけるよりも、製法の方なら6つのパターンで済むから、把握しやすいわけね。

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わかば

確かに多すぎると途方に暮れてしまいますもんね。どの本でも、六大分類が出てくるので、ちょっとウンザリしていたんですけど、しっかり勉強してみようという気になりました!

 

各分類のお茶の製法

現在、六大分類のお茶は、それぞれ以下のような製法のものであると公的な文書で定義されています。

緑茶(Green Tea) 殺青(さっせい)→ 揉捻(じゅうねん) → 乾燥(かんそう)
紅茶(Black Tea) 萎凋(いちょう) → 揉捻(揉切) → 発酵(はっこう) → 乾燥
黄茶(Yellow Tea) 殺青、揉捻、悶黄(もんおう)、乾燥 (※)
白茶(White Tea) 萎凋 → 乾燥
烏龍茶(Oolong Tea) 萎凋 → 做青(さくせい) → 殺青 → 揉捻 → 乾燥
黒茶(Dark Tea) 殺青 → 揉捻 → 渥堆(あくたい) → 乾燥

※悶黄を行うタイミングは、それぞれのお茶で異なります。

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わかば

うわ、専門用語が沢山出てきた・・・

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あるきち

それは後で一つ一つ見ていくから、今は理解しようとしなくて良いよ。ただ、作り方がそれぞれ違うというのが分かれば良いのと、赤字になっている工程が、それぞれのお茶のポイントになる、というところが分かれば良いかな。そこで重要な化学反応などが起きているから。

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わかば

中国茶は漢字が多いので、難しく感じちゃいますね・・・

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あるきち

新しい分野は何でもそうだね。いっぺんに暗記しようと思うとストレスになるし、実際、何度も見ているうちに、だんだん覚えていくから心配しないで。

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わかば

英語表記もあるんですね。あれ?黒茶はBlack TeaじゃなくてDark Teaなんですね。烏龍茶はOolong Teaなんだ・・・

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あるきち

紅茶にBlack Teaを先に当てちゃっているからね。黒茶のことをDark Teaと呼ぶのはあまり知られていないかも。

 

それぞれのお茶の特徴をざっくりと書くと・・・

六大分類のお茶について、ざっくりとイメージを当てはめ、それに対応する製法、著名なお茶をまとめると、以下のようになります。
なお、チャノキから摘んだ葉(原材料となる葉)のことを「生葉(なまは。中国語だと鮮葉)」といいます。

この茶類のお茶の大まかな特徴 製法の特徴 著名なお茶
緑茶 生葉の持つフレッシュさ、青さをそのまま活かした緑色のお茶。 成分の変化を最小限に保つ為に、すぐに加熱処理(殺青)して変化を止める。 龍井茶、碧螺春、黄山毛峰、信陽毛尖、太平猴魁など。
生産量は7割弱。
紅茶 生葉を発酵(酸化)させ、紅い色合いと甘い香りを引きだした紅色のお茶。 酸化酵素の働きを活性化し、揉捻・揉切を行うことでポリフェノールと酵素の接触を促し、積極的に発酵(酸化)をさせる。 祁門紅茶、雲南紅茶、九曲紅梅、金駿眉、正山小種など。
生産量は1割強。
黄茶 緑茶をベースに茶葉を蒸れさせることで色を黄変(悶黄)させ、口当たりをまろやかにした黄色いお茶。 温度と湿度を高めた状態に茶葉を置くことで、葉緑素を破壊する(非酵素的反応)。 君山銀針、蒙頂黄芽、霍山黄芽、平陽黄湯、黄大茶など。
生産量は0.03%程度。
白茶 産毛の多い品種の生葉を自然に任せる形でわずかに発酵(酸化)させ、香りと甘みを引き出した白いお茶。 茶葉から水分が抜け、萎れることによって一部の細胞壁が破壊され、酵素と接触することで微発酵を起こさせる。 白毫銀針、白牡丹、寿眉、貢眉、月光白など。
生産量は1%強。
烏龍茶 生葉を部分的にコントロールしながら発酵させ、香りと味わいのバランスを追求したお茶。 茶葉を揺することで、茶葉の縁同士を触れ合わせたり、水分の移動を促すことで、酵素の働きをコントロールしながら、発酵を進め(做青)、適切な段階で酵素を破壊して発酵を止める(殺青)。 鉄観音、大紅袍、鳳凰単叢、凍頂烏龍茶、東方美人茶など。
生産量は1割強。
黒茶 水分と熱、微生物などの作用で渋み成分のポリフェノール類を変化(渥堆)させ、味わいをまろやかにした黒っぽいお茶。 高温多湿の状態で茶葉を堆積させ、水分、熱および空気中の微生物の活動などを通じて、茶の成分を変化させる(渥堆)。 プーアル茶、千両茶、茯磚茶、康磚茶(蔵茶)、六堡茶など。
生産量は1割強。

製法の特徴については、後で詳しく触れます。

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わかば

おお、何となく整理された気が。

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あるきち

表にまとまると、まとまった感じになるよね。

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わかば

でも、発酵のところに(酸化)と書いてあったりして、分かるような分からないような・・・

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あるきち

実は、中国茶を知ろうと思うと、この”発酵”というものをしっかりと捉えることが必要なんだ。それは、次回に詳しくやりましょう。

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フーマオ

このパートは、後の部分を勉強してから、何度か読み返してみることをオススメ!

<今日のまとめ>
・お茶は製茶工程で、成分が変わる。製茶を抑えておけば、お茶の特徴が掴みやすい。
・そのため、六大分類は非常に大切な概念なので、大体最初に紹介されている。
・各茶類にはポイントになる製茶工程があり、そこで成分が化学的に変化している。
・紅茶の英訳はBlack Tea。黒茶はDark Tea。

 

続く。

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